9月28日の朝日新聞朝刊に村上春樹が日中関係の問題について、エッセイを寄稿していました。そしてその全文をようやく読むことができました。それは日本人の我々に対するメッセージです。
『文化の交換は「我々はたとえ話す言葉が違っても、基本的には感情や感動を共有しあえる人間同士なのだ」という認識をもたらすことをひとつの重要な目的にしている。それはいわば、国境を越えて魂が行き来する道筋なのだ。』
と、この二十年ばかりの東アジア地域における最も喜ばしい達成のひとつに、そこに固有の「文化圏」が形成されてきたことだと提示した。
『国境線が存在する以上、領土問題は避けて通れないイシューである。しかしそれは実務的に解決可能な案件であるはずだし、また実務的に解決可能な案件でなくてはならないと考えてる。』
このように、領土問題を認識したうえで、
『報復的な行動をとらないように。もしそのようなことをすれば、それは我々の問題となって、われわれ自身に跳ね返ってくるだろう。逆に「我々は他国の文化に対し、たとえどのような事情があろうとしかるべき敬意を失うことはない」という静かな姿勢を示すことができれば、それは我々にとって大事な達成にとなるはずだ。』
と、我々日本人に冷静さを取り戻すように訴えている。
感情論で解決できる問題など、そこにはないのだ。
そしてその、一時的な興奮した感情によって、長い年月をかけて形成された大切な道筋が失われることを恐れている。
村上春樹自身のための言葉でもあるようだけれど、しかしそれは、方向性をきちっと正すための言葉ですね。
明日はノーベル文学賞の発表ですね。
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