村上春樹の小説『1Q84』を読み終えた。
3月から3ヵ月連続で発売された単行本を追っていました。BOOK1からBOOK3にかけて、どんどんとのめりこんだ。そして、BOOK1は4~6月、BOOK2は7~9月、BOOK3は10~12月という具合に、時系列が丁寧に揃っていて読みやすいし、特にBOOK3のスピード感がすごかった。
今までの小説と比べて、完結して終わったことに驚いた。やけにあっさりしているというか。こんな小説って、あまりなかったんじゃないかな。そういう点で、物語の内容に深みが欠けるというか、村上春樹じゃなくても書けたんじゃないかと思う。
世界の成り立ちと個人の成り立ちについて書かれた作品だと思う。
世界は紙一重。
その世界を信じたのなら、本物になる。
村上春樹作品を初めて読む人や慣れていない人は読みやすいと思う。非常にわかりやすい文章だ。
しかし『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』のような衝撃はうまれなかった。
天吾の父親の存在が好きだった。愛を感じた。
そして安達クミは言う。
「人が一人死ぬというのは、どんな事情があるにせよ大変なことなんだよ。それに対して私たちは正しく敬意を払わなくちゃならない。そうしないと穴は塞がらなくなってしまう。」
「でもある場合には、死んだ人はいくつかの秘密を抱えていってしまう。」
「そして穴が塞がれた時、その秘密は秘密のままで終わってしまう。」
「それもまた必要なことなんだよ。」
「もし、死んだ人がそれを持って行ったとしたら、その秘密はきっとあとには置いていくことのできない種類のものだったんだよ。」
「たぶんそこには死んだ人にしか正確には理解できないものごとがあったんだよ。どれほど時間をかけて言葉を並べても説明しきれないことが。それは死んだ人が自分で抱えて持っていくしかないものごとだったんだ。大事な手荷物みたいにさ。」
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