ラベル novel の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル novel の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2012/06/01

1Q84






村上春樹の小説『1Q84』を読み終えた。
3月から3ヵ月連続で発売された単行本を追っていました。BOOK1からBOOK3にかけて、どんどんとのめりこんだ。そして、BOOK1は4~6月、BOOK2は7~9月、BOOK3は10~12月という具合に、時系列が丁寧に揃っていて読みやすいし、特にBOOK3のスピード感がすごかった。

今までの小説と比べて、完結して終わったことに驚いた。やけにあっさりしているというか。こんな小説って、あまりなかったんじゃないかな。そういう点で、物語の内容に深みが欠けるというか、村上春樹じゃなくても書けたんじゃないかと思う。

世界の成り立ちと個人の成り立ちについて書かれた作品だと思う。
世界は紙一重。
その世界を信じたのなら、本物になる。


村上春樹作品を初めて読む人や慣れていない人は読みやすいと思う。非常にわかりやすい文章だ。




しかし『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』のような衝撃はうまれなかった。




天吾の父親の存在が好きだった。愛を感じた。
そして安達クミは言う。

「人が一人死ぬというのは、どんな事情があるにせよ大変なことなんだよ。それに対して私たちは正しく敬意を払わなくちゃならない。そうしないと穴は塞がらなくなってしまう。」
「でもある場合には、死んだ人はいくつかの秘密を抱えていってしまう。」
「そして穴が塞がれた時、その秘密は秘密のままで終わってしまう。」

「それもまた必要なことなんだよ。」

「もし、死んだ人がそれを持って行ったとしたら、その秘密はきっとあとには置いていくことのできない種類のものだったんだよ。」

「たぶんそこには死んだ人にしか正確には理解できないものごとがあったんだよ。どれほど時間をかけて言葉を並べても説明しきれないことが。それは死んだ人が自分で抱えて持っていくしかないものごとだったんだ。大事な手荷物みたいにさ。」

2012/03/17

ねじまき鳥クロニクル

村上春樹のねじまき鳥クロニクルは3部構成で、今日ようやく全巻を再読し終えた。初めて読んだのはたしか、一昨年のこの時期だったと思う。

初めて読んだ時、途中、猛烈な吐き気をもよおし、本当にその日の夕飯が食べられないくらいだった。それは、“好むと好まざるとに関わらず”起こるべきして起きた。偶然のようで必然。あらゆる“暴力”がそこには描かれている。2度目になると、そこに気持ち悪さとかは感じなくなった。極力“想像すること”をやめることができたからだろうか。

この物語はギリギリのところで救われる。のか。どうなるかはわからない。
特に、3巻の展開の早さには、ぐいぐい引き込まれる。長編小説だが、読ませる。

パラレルワールド、繋がり、呪い。





『人々はとくべつな人間にしか聞こえないその鳥の声によって導かれ、避けがたい破滅へと向かった』

ねじまき鳥はいまも、世界のどこかで世界が止まってしまわないように、ねじを巻き続けている。




さあ、あなたも村上春樹の世界へ。


1Q84の文庫本が28日に発売らしく、いまから楽しみでならない。

2012/02/29

芥川賞受賞作「共喰い」

やっと読むことができました。第146回芥川賞受賞作品「共喰い:田中慎弥」です。
私は文藝春秋3月号を買って読みました。


これは芥川賞受賞2作、共喰いと道化師の蝶と両方が全文掲載されていて、890円とお得だったのでこちらを購入。ちなみに、ハードカバーだと共喰いが定価で1050円、道化師の蝶が定価で1365円。

芥川賞受賞会見で田中さんがなにかと話題になっていたのはもうみなさんご存知の通り。ふてくされたような不機嫌な会見と話題になっていたけれど、その表情からはどこか素直で可愛らしい感じが見受けられました。本当はシャイな人柄なのだと思う。そういった様子に私は好感を持っていました。“あ、これは私の好きなタイプだ”と(笑)

会見から約1ヶ月後の2月9日には発行部数20万部と発表され、ベストセラーに。


内容量は1日で読めるような量。
読了後の感想は心理描写がとてもうまく、迫りくるような表現でした。しかし、この内容は賛否両論あるだろうな、と思った。陰鬱で息苦しい空気が読了後も残る。暴力的な性描写からリアルな匂いが感じられて、気持ち悪くなる。けれど、そこが表現のうまさかもしれない。エディプスコンプレックスがベースのどこかで読んだことあるような内容な気がした。再読はないかな。
今後の作品に期待したいなと思う。



次は同時収録の円城塔の道化師の蝶を読もう。